実際、部員の中には本格的な冬山を登る者もいましたし、登山道を歩く縦走だけでなく、沢沿いに山頂を目指す「沢登り」が、活動の中心でした。

 岩登りだけをする人はいなかったけれど、沢登りでもザイルはいつも必需品で、かなり危険なこともしていました。

 山岳部との決定的な違いをあげるなら、山里を何日も歩いたり、沖縄の島でキャンプをしたり、はたまた、ぼくの同期が3年の春に計画した、沖縄を徒歩で縦断するといったような活動でも、ワンゲルは許容できるという点でしょうか。

 行き過ぎた近代化へのカウンターカルチャーとしての野外活動。その意味では、高さや困難さを競うような登山よりもむしろ、そういった活動の方が、ワンゲルの精神に近いのかもしれません。

 定義はともかくとして、大学に入学してすぐの部活説明会で耳にした「ワンダーフォーゲル=渡り鳥」ということばに、ぼくはとても心惹かれました。

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