とはいえ、私は今でもユキヒョウのフンを集めて分析している。学ぶべきことはまだたくさんあるのだ。私たちは、ライオンやトラを保護する方法は知っていても、人間がいる土地の中でいかに管理するかは知らない。

 ジャガーなどネコ科動物の、ある地域における生息密度は、彼らの獲物の数によって制限される。獲物となる動物の数を把握するのは難しい。森の中ではなおさらだ。

 実際のところ、いまだほとんどの大型ネコ科動物に関して、その状況や分布といったデータがなく、生息数も推測の域を出ない。たとえば、アマゾン川流域のジャガーや中央アジアの山岳地帯に生息するユキヒョウの数は、これまで調査されたことがない。

 私たちの最大の目標は、大型ネコ科動物を救う取り組みを国レベルで広く浸透させることだ。すべての人がかかわる取り組みとするのだ。コミュニティにとっては、自分たちの土地で捕食動物と共存するための動機づけが必要だ。経済的な恩恵だけではなく、道徳的にも恩恵を見出す必要がある。

 たとえば、ラテンアメリカの先住民の間では、ジャガーは太陽の象徴であり、すべての生物の庇護者とされている。トラは、中国では天からの使者、インドのヒンドゥー教では世のため人のためになる力とみなされてきた。また、仏教においては、あらゆる生き物を愛し思いやることが大切だとされている。自然保護は、科学的な価値観ではなく、道徳的な価値観に基づいている。さらに美や宗教に基づいており、こうした価値観抜きでは成り立たない。

 大型ネコ科動物は、私たち人間に究極の問いを突きつけている。「地球を他の種と分かち合う意志があるのか」という問いだ。彼らに輝かしい未来を与えるため、私たちは今すぐ行動を起こさねばならない。その理由が、彼らがこの地球上で最もすばらしい生命の1つだということだけだとしても。

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