かつてライオンはいたるところに見られたが、いまや保護区の外では姿を消しつつある。牧畜民や農民によって殺されているのだ。ライオンが家畜や時には人間を殺すことが理由の1つ。最終的にライオンが生き延びられるのは、自然保護区の中だけだろう。

 トラの現在の生息域は、かつての約7パーセントに過ぎない。トラの野生の生息数は4000頭に満たないのに対し、悲しいことに中国と米国ではそれぞれ5000頭ほどが飼育下にあると考えられている。

 アジアのトラとヒョウは密猟者のネットワークの脅威にさらされている。密猟者は毛皮だけではなく、骨や薬効があるとされる体の他の部分を、中国など東洋諸国に売りさばいている。

 インドの自然保護区のうちサリスカ国立公園とパンナー国立公園の2カ所では、警備部隊が監視していたにもかかわらずすべてのトラが失われてしまったが、密猟がはびこる現状を考えれば、これも驚くにはあたらない。

 私はかつて、希少なアジアチーターの足跡をたどって歩いたことがある。彼らの最後の生息地である中央イランの砂漠でのことだ。アジアチーターのような自然の宝が各国で次々と消滅していくというのに、なぜ世界は手をこまぬいているのだろうか。

 フィールドワークを始めた頃、私は種(しゅ)の研究をするだけではなく、保護区内でその種を守ることを目指していた。どちらの取り組みも引き続き不可欠だが、その一方で、私は考え方を変えなくてはならなかった。