第4回 「謎の首切り死体事件」の犯人は?

「昨晩のように1頭1頭捕獲して計測して、というのとは違うタイプの調査です。みつけた個体を捕まえずに(つまり個体の行動に影響を与えないようにして)、棒の先についたセンサーでマイクロチップをひとつひとつ読んでいったんです。春と秋に1週間ずつ、14日観察したんですね。それでわかった面白いことっていうのは、オオサンショウウオが毎日毎日勤勉に狩りをしているわけでもないということなんですね。平均すると3日に1度くらいしか出てこない。かなり省エネでやってるみたいなんです。あと、個体にも個性があって──」

 栃本さんが、含み笑いをしつつ話を引き取った。

「毎日、出勤してる個体がおったよな。2回とも毎日出てきた勤勉なやつ。それと、逆に2回とも1週間に1回しか出なかったやつがいるんだよ。非常に怠け者だね」

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 平均は「3日に1度出勤」なのだが、裾野は広く、「毎日出勤」から「週に1度の重役出勤」まで。平均がどのあたりで、裾野がどう広がっているかを意識すると、「ここのオオサンショウウオはこういうかんじ」と、それこそ「トータル」にイメージできるとぼくは感じる。ほかの場所で調べると違う結果になるかもしれないし、となると、環境の違いとそれに対する応答、といった今の「フィールドの生物学」でもよく取り上げられる課題に直結する。

 ちなみに、田口さんのこの2度の調査で登場した毎日出勤の「勤勉君」と、週に一度の「重役君」について、面白いことが分かった。