第3回 オオサンショウウオの知られざる生態

周年の行動と繁殖
 冬眠はしない。厳冬期には河床に出て狩りをする個体は減るが、3~5月にもなると非常に多くの個体が出現する。7~9月の産卵期直前には、適した繁殖巣穴を探して移動する行動も見られる。

 好まれる巣穴は、川岸の水面下の穴で、奥から少しわき水が出るところ。かなり、えり好みが激しいので、よい巣穴をめぐっては、オスたちの闘争が見られる。結果、首を噛みきられて死ぬオスがいる。また、体に噛み傷を残したり、手足の指などを失うものも圧倒的にオスに多い。

 産卵は、9月頃水温が低くなるのが引き金になっているらしい。闘争に勝ち残ったオスが守る巣穴で、メスは1頭あたり300~700個の卵を産む。前述のように、産卵が始まると闘いに敗れたオスも巣穴へなだれ込み(スニーキング行動という)、結局は、メス1頭とオス複数で繁殖をおこなうという不思議な生態をもつ。

 卵塊はビーズのように一つながりになっており、卵の直径3センチメートル前後、卵黄部分だけでも直径5~8ミリメートルもある。40~50日で孵化し、翌年の1~3月にかけて巣穴から順次旅立つ。受精卵の状態から孵化するまでの間、卵や幼生は、巣穴の中で、闘争に勝ったオスに守られ続ける(戦いに勝って優位を証明しつつも、授精の機会を独占せず、かつ、苦労まで背負いこむのがオオサンショウウオのオスらしい)。