第14回 枯れ葉になりすまして・・・

アカンソプス属カマキリの一種 (カマキリ目:Acanthopidae科)
A praying mantis (Mantodea: Acanthopidae: Acanthops sp.)
枯れ葉に擬態? 枯れ葉にしがみついて、こちらの様子をうかがっているようだ。
体長:約6 cm  撮影地:バルビージャ国立公園、コスタリカ(写真クリックで拡大)

 四季がない熱帯コスタリカ。前回お話したように“紅葉”はほとんどないが、“枯れ葉”はある。地表を覆うたくさんの枯れ葉を見かけることもあり、そこは多様な生き物たちの大切なすみかとなっている。

 なかでも、枯れ葉の環境に姿かたちを溶け込ませるように適応しているのが、写真の擬態昆虫たち。ただし、そいつらは見つけようと思って、見つけられるものではない。思いもよらない時に「まぐれ」で出会うことがほとんどだ。

 下の写真のカマキリなんて、翅(はね)が枯れ葉にしか見えない。これで飛び立てるなんて驚きだ。

 そうそう! この写真を見ていて思い出した。バイオリンの話です(ちょっと似てないですか?)。みなさん、連載の第5回で紹介した、バイオリンの中に産まれた2つのヤモリの卵(第5回 西田賢司がバイオリンを弾けない理由)を覚えていますか?

 その一つから無事に赤ちゃんが生まれました! 誕生日は9月22日。孵化に135日間は長かった~。もう一つの卵は、バイオリンの中でコロコロとさせすぎたのか、干からびて割れていました。

 「ごめんね」

枯れ葉に擬態しているような色とかたちと模様のカマキリ。アカンソプス属の一種。
A dead leaf-mimicking praying mantis. Acanthops sp.
葉とカマキリの色は茶色系だけど、よく見るとどこか赤紫っぽさも感じる。風になびくようにゆらゆらと揺れながら歩く。
体長:約6 cm  撮影地:バルビージャ国立公園、コスタリカ(写真クリックで拡大)
枯れ葉に擬態しているような色彩のバッタの一種(バッタ科)
A dead leaf-mimicking grasshopper(Acrididae)
おそらく枯れ葉は食べないが、落ち葉がたくさん落ちている地上にジャ~ンプして、じっとすることで、瞬時に敵から身を隠すことができる。
体長:約4 cm  撮影地:バルビージャ国立公園、コスタリカ(写真クリックで拡大)
西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html