第2回 「オオサンショウウオって何年生きるの?」

 栃本さんは、退職後に築いたこの「城」で、実に若々しい熱のある口調で、オオサンショウウオとの出会いから、ハンザキ研究所開設にいたる経緯を語ってくれた。

 まず原点は水族館の飼育員時代。

「子どもたちが大きなオオサンショウウオを見て、『これは何歳?』『何年生きるの』と、素朴な質問をしてくるわけですよ。そのたびに「分かっていないんです」としか答えられないんですね。国の特別天然記念物だし、地域で一番著名な水中の生き物ですよね。なのに、基本的な寿命とかもわからない状態で放っておくのはいけないんじゃないかという思いがずっとありました」

 オオサンショウウオは、戦後間もない1952年に特別天然記念物になったのだが、それ以前は、山間部では貴重なタンパク源だった。今、地元に住む70代、80代の人たちは、食べた経験があるという。産後の肥立ちを良くするということで特に出産後の女性に与えられたり、卵は栄養価が高く結核に効くとされたため採集して売る人もいた。特別天然記念物になることで、食習慣と密着した関係も切れてしまい、地元の人たちの関心も薄らぎ、生物学的な研究もほとんどされず……ある意味、誰からも顧みられない状況になっていたかもしれない。