第1回 激録・オオサンショウウオ夜間調査

 オオサンショウウオは、日本の岐阜県以西の本州と四国、九州の一部に棲息しており、分布の中心は中国山地の渓流だという。

 3000万年前から、今と変わらない化石が出ており、両生類界のシーラカンス(?)ともいえる。かつては世界のあちこちにいたと見られるが、今では地球儀上の「点」のような狭いエリアにかろうじて生き残っている古代種だ。

 本物の野生のオオサンショウウオは、艶々して美しかった。茶色い体の表面のまだら模様は、やはり川底の石のようで、素人がいきなり夜の川をライトで照らしても、そうそう見つけられるものではない。

 田口さんが、読み取り機をその体の左肩にかざすと、ピッと音がした。

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「これはもう、標識用のマイクロチップを埋め込んである個体ですね」

 そう言って、読み取り機にある液晶画面に現れた識別番号を読み上げた。

「この番号が固有のものなので、一頭一頭、個体識別できるんですよ。トチモトさんが、40年近く前にここで調査を始めてから、個体識別できているのは1500頭を超えるんです。そのうち850頭以上にはマイクロチップが埋め込んであって、あとは尾の模様での個体識別なんですが──」