第1回 激録・オオサンショウウオ夜間調査

 夜の渓流を歩き始めてから10分と経っていない。
 いかに生息数の多い場所と分かっているとはいえ、あっけない出会いだった。

 ちなみに、田口さんが研究員をつとめるハンザキ研究所の「ハンザキ」とはオオサンショウウオの古い標準和名だそうだ。

 それにしても、こんな小さな渓流に、これほどの大きさの生き物が潜んでいるとは……。ある種の感動を抱かざるをえない。

 つい最近まで、ぼくにとって、オオサンショウウオとは、こういうリアルな生き物というより、物語に登場する寓話的存在だった。井伏鱒二の『山椒魚』やら、カレル・チャペックの『山椒魚戦争』やら、最近では映画で『パビリオン山椒魚』などというのもあった。

 でも、今こうやって、目の前に体をくねらせるそいつを見ていると、ああ本当に野生生物なんだなあ、という実感が湧いてくる。

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