第11回 自然体験の原風景

 グレッグが、車でイリーまで連れて行ってくれる……それは願ってもない申し出でした。

 時間だけはたっぷりあります。2日待つことなんか、苦でもありません。閉ざされていた扉が開かれ、目の前が急に明るくなったような気がしました。

 さらにグレッグは、気前よく自転車まで貸してくれたので、当面の食料を買い出しに行くついでに、ダルースの町を見て回ることにしました。

 昨日、重たい荷物を背負って、汗だくで登って来た坂道を、自転車で颯爽と下りていくのは、なんとも気分がいいものでした。

 陽の光はまぶしくて、さわやかな風が頬をなでてゆきます。
 なだらかな坂の上に、どこまでも続くれんが造りの町並み。その中にひょっこりと頭を出す、教会のとんがり屋根。まわりをにぎやかに飛び交う、まっしろなカモメたち……。

 まるで北欧かどこかの、絵本にでも出てきそうな港町にやってきたみたいです。

森の奥でひっそりと佇む巨大な岩。一万年前に、氷河によって運ばれてきた。ここで、どんな風景を見つめてきたのだろう。(写真クリックで拡大)