第6章 『青春を山に賭けて』の時代〔その1〕前編


 1967年の日記・覚え書の手帳があり、そこには年頭の抱負が記されている。

 1 グリーンランド遠征
 2 国立登山学校への入学
 3 アンデス(アコンカグア)遠征
  さらに別項として、
 1 仏会話、読書の徹底。付随してアルピニズムの歴史の勉強。

 とある。(後に『青春を山に賭けて』で書いていることと少し表現が変わっているが、内容はほぼ同じである)。

 私が注目するのは、この目標に続く記述のほうである。

 金銭について、予算と現状がこまかく確認されているのだ。年末に700フラン入金。全支払いを済まして300フラン残った。これから毎月300フラン残したとしても、7月に予定するグリーンランド行まで6カ月に1800フランがやっと。フランスに帰ってきてシャモニの登山学校に入学するとして学費が工面できるかどうか。

 どう考えても足りない。毎月無休で働いて、700~750フラン稼ぎ、一方でコーヒー、ワインはけっしてとらず、月約500フラン残せないだろうか。目標を下ろさないなら、それを実行するしかない云々。