第10回 スピリチュアル・クエスト

「……君はオオカミの夢を見た。で、その夢を追って、ジムなんとかっていう写真家に会いに、イリーの町にいきたいって言うんだね?」

 ダルースのホステルのオーナーである、グレッグ・ホフマンは、にこやかな顔をしながらも、ぼくの顔をまじまじと見つめながら聞き直してきました。

 ぼくはさっきからずっと、1階のリビングにあるどっしりとした木製の丸テーブルに、グレッグと向かい合わせですわり、彼にこの旅の契機と目的を語っていました。

 こんなに早く夢の話を人に語るつもりはなかったのだけれど、1泊して友人たちが帰った後、空いた部屋を与えてもらったときに「で、いつまで泊まるつもりなの?」と聞かれて答えに窮してしまい、自分の方から、「じつは困ったことになってね。話を聞いてくれるかい?」と切り出したのでした。

 話をしてどうなるものでもない。けれど、いつまでいるのか自分でも答えられない理由を宿主に説明する必要があったし、それになによりグレッグには、たとえ夢の話をしてもきちんと聞いてくれそうな信頼感があったのです。

 その信頼感は、1泊するうちに見た、このホステルのちょっとかわったたたずまいと、彼の暮らしぶりから読み取ったのだと思います。

静かな入り江でビーバーと出会った。朝日が差し込むと、湖面が秋の森を映して輝いた。
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