第5章 現地から届いた手紙 後編

《Cambridge Bayを出て一カ月半、1300~1500km走行して、1月27日北極海沿岸にあるパウラトックに到着しました。パウラトック到着は、コッパーマインを出て20日目になります。一週間休養後、2月3日出発、2月中旬カナダ最後の町タクトヤクトック到着予定、アラスカ入りは3月上旬頃を予定。
 後半の旅は意外と厳しくなかなか思うように犬橇走らず、気温はマイナス40℃を越し、乱氷になやまされ、その上、C.B.で手に入れた新しい犬は橇を曳いたことなく、グリーンランド犬とケンカ、凍死したり、疲労死、闘争死で、500kmと走らない内に犬は9頭に減ってしまい、旅を続けることできず、今年始め、ルートから離れ、コッパーマインに入りました。ここで犬を交換したり補強して、16頭という今までの最大のチームで、1月7日コッパーマインを出発しました。ところが、これまたトレーニングのないコッパーマイン犬は、犬の数ばかりで、橇を曳くことより、犬同士のトラブルばかり。その上、ツンドラの横断で予定したカリブーの狩りは2頭をとっただけで、橇の犬の食料は食べつくし、パウラトックに入れず、犬は元気なく、また、わが体も調子悪く、最寄りのアメリカのレーダー基地に逃げ込み、基地の協力を得てカナダ警察の援助を受け、犬の食糧を受け、1月27日、コッパーマインを出て20日目、かろうじてパウラトックにたどりついたところでした。一日の行動は、朝9時から午后6時まで、日が短かく、その上、気温はマイナス40℃~50℃にも下る強力な寒さにより、一日一食(夕方)しかとれない中、暗やみの行動もできず、その上、橇は砂の上を走らせるように滑らず、1日最高50km、ある日は乱氷の中に1日10km進むのがやっとのことでした。顔の凍傷はC.B.を出て4度目、やけどのようにヒフはただれるが4~5日もすると、新しく表皮ができ、またそこが新しくやられると、いつも同じところが凍傷になること、くりかえしています。マイナス50℃という寒さにはもう防寒衣をつけても、体全体が寒く、そして痛み、橇にじっと乗ってムチを振れない厳しさです。