セレンゲティでは、車で近づいていくわけですが、アクセルとブレーキの踏み具合で、相手を見ながら静かに寄って行くわけです。1回でスッといける場合もあれば、何度トライしてもだめなこともあります。

 一番難しいのは距離感ですね。相手が嫌がるか嫌がらないか。嫌がる距離をやぶってしまうと、距離は絶対に詰まらない。

――その距離をどう読むんですか。

 感覚的なものですね。説明が難しい。狩りに似ているかもしれません。ライオンがシマウマやヌーを狩るときは、100%条件が整わないと捕らえられないと思う。ライオンもよく狩りを失敗するけれど、僕もそうです。距離を詰めようとしても、だめなときはもう最初からだめですからね。

――しかし、その距離を詰めていくというのは、誰にでもできることではないですよね。岩合さん、気配を消せるんじゃないですか。

 気配消すなんて、できっこないですよ(笑)。しかし、ネコの撮影でもそれはよくいわれます。

 たくさんのネコに、僕が囲まれている写真があるんですね。それが見る人に不思議がられる。「どうやってネコの輪の中に入ったんだ」って。

 あれは、ネコがいっぱいいるところに僕が分け入ったわけではないんですよ。僕がいるところにネコが来たんです。それも、ちゃんと理由があるんです。

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