第4回 動物写真で難しいのは“距離感”

「こんなの見たことないけど」と現地に問い合わせたら「いや、そこの崖の下でしょっちゅうやっているよ」と。

 すぐに行って撮ったのですが、15の年から撮っていて、今まで何を見ていたんだというセレンゲティの続きですよね。

 でも、これはいい写真が撮れたと思う。

 僕はこれ、冷たそうにしている足先の動きに興味を持って撮っているんです。そこに、この子ザルの感情が表れていると思うんです。

――感情というと、喜怒哀楽の?

 ええ、それは動物にもあると思う。喜怒哀楽の表し方は、人間とは違うでしょうけれど。

 今でも動物を見ていて一番楽しいのは、その動物の感情が見えたときですね。しかし、動物の場合、それが見られるのはほんの一瞬なんですよ。

 僕と被写体の関係もあるし、被写体同士の関係もある。親子の関係、捕食者と被捕食者の関係でも、そのやりとりのなかで、パッと感情が見えることがある。そのときがシャッターチャンス。逃すことのほうが多いけれど、動物のエモーショナルな部分が表れる写真を撮りたいと、いつも思っているんです。

――では、最後にネコの話を伺うことにしましょう。

つづく

岩合光昭(いわごう みつあき)

1950年、東京生まれ。動物写真家。19歳のとき訪れたガラパゴス諸島の自然の驚異に圧倒され、動物写真家としての道を歩み始める。以来、地球上のあらゆる地域をフィールドに撮影を続けている。30カ国以上の国々を取材した『海からの手紙』で木村伊兵衛写真賞を受賞。アフリカのセレンゲティ国立公園で撮影した『おきて』(小学館)は全世界で15万部を超えるベストセラーになる。近刊の『どうぶつ家族』『いぬ』(クレヴィス)、『パンダ』(新潮文庫)などのほか、多数の写真集がある。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。