第4回 動物写真で難しいのは“距離感”
――被写体となる動物には、どれくらいまで近づけるものですか。
セレンゲティのときは、ライオンと間近に向き合って撮ったこともありますよ。寝ているライオンの背中のダニを撮ったり。
でも、怖くはない。それは、はっきりした理由があるんです。ライオンと面と向き合っても「お前を食いたい」という目をされたことはないです。ホッキョクグマのときはある。それは怖かった。
――どう違うんですか。
すごく違いますよ。ホッキョクグマは、本当に「食うぞ」という目をして迫ってくる。ライオンは「お前なんぞに興味はない」という感じ。おそらく、ライオンのディナーメニューに人間は載っていないですね。ホッキョクグマのメニューには、人間も載っていますよ、きっと。
――しかし、すぐには近づけないですよね。
相手と距離を詰めていくときは「安全だよ」ということを伝えてやらなければならないんです。