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ナショナル ジオグラフィック日本版 2011年11月号

遊牧の民 サーミ

Photograph by Erika Larsen

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  • 極北の地に、トナカイとともに生きてきたサーミの人々。外の文化や同化政策の影響もあり、今では遊牧生活を続けているのは少数派だ。スウェーデンのヨックモックに住むエラ=リ・スピック(写真)は大学への進学を考える新世代だが、家族とトナカイの遊牧をして育ち、その暮らしへの愛着がある。「世界に出て、いろいろなことを知りたいんです。でもトナカイなしの人生も考えられません」
  • サーミの人々は、トナカイの群れとともに移動する。スカンディナビア半島やロシアの北部を横ぎり、内陸の山岳地帯の冬の放牧地から、夏の数カ月間を過ごす涼しいフィヨルド高地へと向かう。
  • トナカイは驚くと突然走り出すことがあるので、ニルス・ペデルは群れの中心に膝をついてじっと座っている(写真)。一家の暮らしを支えてくれる、大切な群れだ。手にした投げ縄は、使用に適した気温や季節ごとに色分けされている。<br /><br />群れを見守りながら、古くから伝わるヨイク独特の節回しで歌うのは、妻のイングリッドを思う歌。サーミ人をキリスト教に改宗させたルター派の牧師たちは、ヨイクを「悪魔の音楽」と呼んで禁止した。子どもの頃は母親がヨイクを嫌ったので教わる機会がなかったが、後に祖父母から習い、自分の子どもたちにも教えた。
  • トナカイの群れは海に向かって130キロの道のりを移動するが、この子にはややきつい旅だったようだ。牧夫はもがく子トナカイをソリにくくりつけ、スノーモービルで引いた。
  • スウェーデン・ハロー郊外の冬の放牧地で、深い雪の中、食物を探しながらゆっくりと歩くトナカイ。冬の主食である地衣類にありつくには、雪をかきわけなければならない。ここ数年は気温が高いせいで湿り気の多い雪が降った。こうした雪が地衣類の上でがちがちに凍りつくと、トナカイには壊すのが難しくなる。
  • ラーボと呼ばれる円錐形のテントは、サーミの牧夫たちがトナカイを追う際に使う一時的な住まいだ。ここで体を休めるニルス・ペデル・ゴープ(写真)がもっとも安らぎを感じるのは、山の中だと言う。「サーミの精霊は、いつもわたしたちと一緒にいます」
  • 自宅で食卓に着くスヴェン・スカルチェ。トナカイの干し肉に自家製パンとコーヒー、いずれもサーミ人の定番食品ばかりだ。スウェーデン、イエリバーレ市内のアパートに兄弟の6人で暮らす彼らの生活の場は、この町と、道路も通っていない辺境の村ハローの2カ所に分かれている。冬の大半を群れとともに内陸の高原で過ごすスカルチェは、「トナカイと離れていると心が空っぽになった気がする」と言う。
  • スウェーデン北部で2頭の雌トナカイの死骸を見つけて肩を落とすスヴェン・スカルチェ。角を突き合わせて優位を争ううちに、からまって外れなくなってしまったらしい。飢えて死ぬまでに3日ほどかかっただろうとスヴェンは推測する。引き離して耳印を見ると、1頭は自分のトナカイ、もう1頭はいとこのものであることがわかった。<br /><br />同じ放牧地を使うグループの後輩たちから大いに尊敬されているスヴェンだが、自分の教える技術がこの先も伝わっていくかどうか、彼自身は懐疑的だ。「ローマやインカのような偉大な古代文明だって滅びたのです。それが人生というものではないでしょうか」
  • 互いの角がからまったまま餓死してしまった2頭の雌トナカイの死骸を見つけたスヴェン・スカルチェは、それぞれの角を切り落とした。角を鍋で煮てきれいにするのは、形見としてとっておくためだ。
  • サーミ人の庭でよく見かける、ラーボと呼ばれる円すい型のテントの骨組み。ここで肉を燻製することもある。サーミの人々は大昔から、持ち運びのできる避難小屋としてこのテントを使ってきた。底面が広く、先が枝分かれした柱でしっかり支えるため、北極圏のツンドラを時速80キロで吹く強風にも耐えられる。持ち運びも組み立ても簡単。かつてはテント地としてトナカイの皮が使われたが、最近ではろう引きのキャンバス地など軽量の織布を使うのが一般的だ。テント内の暖房や煮炊きには、石で組んだ炉やストーブを使う。地面に小枝やトナカイの皮を敷きつめて、大家族が一つのテントの中で寝ることもできる。
  • ルター派教会の堅信礼のため正装した14歳のサラと、父親のニルス・ペデル・ゴープ。民族衣装の色や柄からノルウェーのカウトケイノ出身とわかる。トナカイ革の靴のつま先が反っているのは、スキーを引っかけるためだ。
  • ノルウェー、カウトケイノに暮らすゴープ家。現代的なダイニングキッチンの食卓に、解体済みのトナカイが横たわる。肉は冷凍や燻製、干し肉にして保存し内臓や脂肪、血やひづめまで余すところなく利用する。角で手工芸品を作ったり、骨で道具やおもちゃを作ったり。腱は丈夫な縫い糸に、皮はかばんや衣類になる。はいだ生皮が使えるようになるまで、製革作業には数カ月を要する。皮をはぎ、薬剤に浸し、乾燥させ、伸ばす。すべての工程が手作業だ。単に肉として売却、換金する場合には食肉処理場へ出荷する。この場合には肉だけが商品となり、それ以外の部分は捨てられる。
  • 月の明るい夜、牧夫たちは囲い幕の中にトナカイたちを追い込み、妊娠している雌を隔離する。
  • ひづめの音を響かせ、歩き回るトナカイたち。マッチス・ゴープは群れに分け入り、妊娠している雌の後ろ脚をつかんで1頭ずつ囲い幕の外に出す。妊娠中の雌は角が抜けずに生えたままなので、見分けるのは簡単だ。ノルウェーのゴープ家のトナカイの群れでは、例年8割の雌が子を産む。だが2011年には、子を産んだ雌トナカイはわずか半数にとどまった。一家は不作の年も冷静に受け止め、マッチスの兄弟ニルス・ペデルはこう語る。「自然が群れの大きさを調整しているのです。夏の間、自分のことだけに専念できた雌は、次の春にはそれまで以上に丈夫な子を産んでくれます」
  • 雌トナカイの影が、囲い幕に映る。妊娠中の雌トナカイは、冬が終わるまで角が抜けない。
  • ツンドラを進む長旅の途中、コーヒーで暖を取るゴープ一家。子トナカイに印をつけるため、トナカイの群れを追っているところだ。
  • ノルウェーでは、毎年夏に子トナカイに印をつける。妊娠したトナカイが出産すると、牧夫たちは子トナカイを少しの間母親から引き離し、耳の端に所有者ごとに固有の印を刻みつける。
  • スヴェン・スカルチェのいとこの家に飾られた写真は、子トナカイの耳に印をつける作業のひとコマだ。
  • スウェーデン、ヨックモックの雑貨店では、剥製のトナカイが客を迎える。
  • スンナカティ・スカルチェと恋人のヨハン・カールソン。友人や家族と一緒にスウェーデン北部のヨックモック・マーケットへ出かけるための支度をしているところだ。ヨックモック・マーケットには何百人ものサーミが集い、余興、展示、トナカイレース、食べ物や手工芸品の出店を楽しむ。
  • ノルウェー・カウトケイノで見つけたこの岩絵は、現代の作品だ。はるか昔の紀元前4200年頃に、スカンディナビア北部で細々と生きていた人々が残した岩絵をほうふつとさせる。
  • イングリッド・ゴープ(写真)はスウェーデンで全寮制の学校に行き、その後結婚してノルウェーに引っ越してきた。さまざまな日用品を手作りしてきたサーミ人の伝統を守り、冬用のブーツに入れる中敷きを作っている。川沿いの湿地で集めた「靴の草」と呼ばれる植物を乾燥させ、編んで形を整える。「空気を含んでいるから保温性があるし、湿気も吸ってくれる。ハイテクの断熱素材も顔負けですよ」と話す。
  • ヨハン・クームネンと飼い犬のカンミュはスウェーデンに暮らしているが、家族の所有するトナカイの群れが夏に移動する範囲は、ノルウェーにもまたがっている。年長者から学ぶというサーミの伝統は、トナカイの世話においても重要だ。サーミのあいだでは、知識は本を通してではなく、世代から世代へと受け継がれていく。

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