第3回 例外こそが大きな喜び

――えっ! サルがシカにエサを? なぜ、そんなことをするんだろう。

 それはサルに聞いてみないとわからない。(笑)

 野生の世界には聞いたことも見たこともない事実が、まだまだあるということです。それを例外と言ってしまったら、動物の行為のすべてが例外になってしまいます。

 例外を見たときこそ、大きな喜びをもって受け入れなければならない。しかし、例外を認めたがらない人も多いですね。

 ライオンはこういうもの、サルはこういうものと決めつけて、自然や動物を見て撮影したのでは真の野生は伝えられない。どんなに意外な場面に遭遇したとしても、目にしたものを事実として受け入れる。それを少しでも拒絶したら、自然を正しくとらえることはできないと僕は思います。

――岩合さんの写真には、これはいったいどうやって撮ったんだと驚かされるシーンがたくさんあります。どのようにして被写体にアプローチするのか、そのへんを次に伺いましょう。

つづく

岩合光昭(いわごう みつあき)

1950年、東京生まれ。動物写真家。19歳のとき訪れたガラパゴス諸島の自然の驚異に圧倒され、動物写真家としての道を歩み始める。以来、地球上のあらゆる地域をフィールドに撮影を続けている。30カ国以上の国々を取材した『海からの手紙』で木村伊兵衛写真賞を受賞。アフリカのセレンゲティ国立公園で撮影した『おきて』(小学館)は全世界で15万部を超えるベストセラーになる。近刊の『どうぶつ家族』『いぬ』(クレヴィス)、『パンダ』(新潮文庫)などのほか、多数の写真集がある。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。