第1回 掲載決定は「グッド」の一言

(写真クリックで拡大)

 編集長の部屋には、デザイナーなど6人くらいのスタッフが構えていて、アジアから来た若いカメラマンを、何か冷ややかな目で見るんですね。回れ右したくなりましたよ。(笑)

 プロジェクターのスイッチを持つのは編集長。映写が始まって、でも彼は1枚を2、3秒くらいしか見ないんです。全部見終わって編集長は「グッド」と一言。それで終わり。これはだめだなと思いました。

――たった一言だけ? 「これはいい」とか「これはどうやって撮った」とか、そういうやりとりは何もなかったんですか。

 何もなかった。だめだったんだろうと思いつつ、ロバートの部屋に戻ると、彼は後ろ手にドアを閉めるなり僕の手を握って「おめでとう」と言いました。

――「グッド」の一言で採用なんですか。

 あの編集長の口から「グッド」という言葉を聞いたのは初めてだと、ロバートは言っていしまたね。 

 私たち日本の動物写真家にとって『ナショナル ジオグラフィック』は、いわば天上の雑誌。「ああ、それに僕の写真が載るのか」と思いました。

――写真が表紙になるとわかったのは?

 撮影でインドネシアに行っているときに「候補になっている」と電報がきました。「表紙になったらシャンパンをプレゼントする」とロバートは書いていたけど、いまだに来ないな(笑)。