第1回 掲載決定は「グッド」の一言

 そんな言われ方をしたら「何くそ!」と思うでしょう。それでアフリカから帰って2年後に、朝日新聞社から『セレンゲティ―アフリカの動物王国』(1984年)を出したときに、それを彼に送ったんです。すぐに電報がきました。

「今すぐアフリカの写真を全部持ってアメリカへ来い」という電報です。

――で、写真を持ってアメリカへ飛んだと。

 いえ。「ふざけるな」と返信しました。「人の写真を見たいなら来るのが筋だ。こちらから行くのは嫌だ」と。すると、また返信が来ました。

「写真3000枚を選んで来てくれないか。家を出てから帰るまでの経費はすべて出す」というんですね。それで行くことにしました。

 びっくりしたんですが、彼は編集者なのに、自分の部屋を持っているんですよ。机じゃなくて部屋。日本の雑誌社では考えられない。

 その部屋で、持っていった3000枚を2日間で300枚にしました。

――2日間で3000枚を300枚に絞るというのもすごい作業ですね。

 それがですね、もっと驚いたことがある。2日間で選んだ300枚のうち、90%以上は彼と僕が同じように「いい」と思った写真だったんです。やっぱり彼は話のできる男だと思いました。 

 それから、その300枚をスライドプロジェクターのフィルムチェンジャーに入れて編集長の部屋にもっていきました。3日目です。