特別番外編  「しんかい6500」、震源域に潜る

その3  震源の海底で、地震に遭う

ボクの深海底での奇妙な体験は、地震や深海熱水という現象が「活動する地球の吐息」のようなものであることを再び強く感じさせてくれた。そして何故か分からないけれど、地球が内包する巨大なエネルギーが、「破壊と創造」という二面性を有するというよりは、むしろこの惑星の隅々にいたる自分も含めたありとあらゆる命を優しく包み込んでいるような、これまでにない感覚を与えてくれた。

おそらくそれは、余震さめやらぬあの東北地方太平洋沖地震の震源域の海底に、「しんかい6500」のチタン一枚隔てた「ナマナマしい現場」にボクがいられたからこそ感じることができた感覚だったかもしれない。

特別番外編おわり



『微生物ハンター、深海を行く』(高井研 著)

Webナショジオの好評連載「青春を深海に賭けて」が本になりました。連載の熱気そのままに書き下ろし番外編を加え、高井さんが深海を駆け巡ります!

384ページ・本体1600円+税
発行:イースト・プレス

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高井 研

高井 研(たかい けん)

1969年京都府生まれ。京都大学農学部の水産学科で微生物の研究を始め、1997年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者に。現在は、同機構、深海・地殻内生物圏研究プログラムのディレクターおよび、プレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットリーダー。2012年9月よりJAXA宇宙科学研究所客員教授を兼任。著書に『生命はなぜ生まれたのか――地球生物の起源の謎に迫る』(幻冬舎新書)など。本誌2011年2月号「人物ファイル」にも登場した。