特別番外編 「しんかい6500」、震源域に潜る
その3 震源の海底で、地震に遭う
生命は「エネルギーの渦潮」がないと生きていけないのだ。「エネルギーの渦潮」を感じられない「永遠の虚無」こそが、生命にとっての最も恐るべきモノなんじゃないかと思う。
熱水にしても地震にしても、とにかく生きている地球の躍動感を感じることで、暗黒の深海底での安堵を覚えるなんて、まるで地球のエネルギーによって生命の営みを紡いだ原始的生命達の本能みたいじゃないか。もしかすると、「しんかい6500」に乗って深海を探査するボクの深層意識は「暗黒の生態系の生命」に完全に同調しているのかもしれない。
そんなヘンなことを考えている内に、船上から「地震は範囲外だったようなので、調査を続けてヨシ」という指令が来た。
「じゃあ、ゆるりと行きますか、チバさん、イシカワさん。カッカッカ!」と水戸黄門のようなセリフを一つ吐く余裕ができた。そして、ボク達は海底に戻っていった。
その後すぐに、お目当ての大きな微生物マットを見つける事ができた。そして、試料採取のために着底しようとした瞬間、再び船上から「潜航地点近くで地震発生。次の指示があるまで漂流状態キープ」という珍指令が来た。
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