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 植村からの便りを改めて取りだしてみると、最初にもらったのは1970年、カトマンズからの年賀状だった。

 植村は日本山岳会エベレスト登山隊の一員として、70年の本登山の前年から越冬隊員としてネパールにいた。そこからのハガキである。私の個人的な懐かしさから、全文を引用する。ハガキは横書き。

《謹んで新春のお喜び申し上げます。
私の方は第2次エベレスト偵察の方は無事終了し、今越冬隊ということで、エベレスト山麓、ネパールで一番高いシェルパの村クムジュン(3980m)で、シェルパの家族と一緒に、毎日、エベレストを見ながら生活しています。多分東京の方は目まぐるしい動きに、多忙をきわめていると察しますが、私の方はやっとシェルパの社会にも慣れ、ヒマラヤボケといわれるかも知れない程になっております。晴天続きですが気温はマイナス18℃まで下り、可成り寒いです。今年も宜しくお願い致します。》

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