第1回 ナショジオ=「米国地理学雑誌」?

「ナショジオの世界 米国で生まれた地理雑誌 120年の軌跡」の入口。
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 奈良大学文学部地理学科の堀信行教授は、大学図書館の館長を兼任している。1888年に創刊された『ナショナル ジオグラフィック』誌を、創刊号から最新号まで1号ももらさず取りそろえ、企画展「ナショジオの世界 米国で生まれた地理雑誌 120年の軌跡」を開催している。

 企画展が行われている図書館の一室には、時代別、特集のテーマ別などに分類されたナショジオが並べられていた。また、ナショジオが報じた「日本」「アフリカ」「宇宙」といった観点別の展示、「ナショジオの付録」を集めた楽しい展示ケースもあった。「付録」というのは、雑誌を購読したことがある人ならご存じの通り、本当に立派なもので、例えば「プレートテクトニクス」というテーマで描かれた大判の世界地図は、その当時の最新の知見を盛り込み、同時に絵画としても水準が高い。

 それはさておき、地理学者が「ナショジオ」の全巻を取りそろえ企画展、というのだから、背後にある意図に興味津々なのは当然である。

 前述の通り、疑問は大きくわけて2つ。

 ナショジオは、なぜナショナル ジオグラフィック、つまり米国地理学雑誌、なのか。

 そして、そもそも地理学とは何なのか。

「ナショジオの世界 米国で生まれた地理雑誌 120年の軌跡」の展示ケースより。(写真クリックで拡大)