第19話 糞良く、落馬……
「首が痛い……」――落馬した。
近くで乗馬トレッキングを営む牧場から、タダで引き取られた馬だった。タダは怖い……。
とんでもなく性格のひねくれた馬だった。
鞍を付けてその馬の背中に飛び乗り、三~四歩、歩いただけで、私は、いきなり宙を飛んでいたのだ。
しかも、馬の頭を飛び越えて、かなり高く。
そして、ドカッと落ちて顔を打った場所は、毎日、馬房の掃除で糞を捨てていた、糞溜めの山だった……。
臭い……。たかっていたハエ連中も、びっくりして、蜘蛛の子を散らすように、一斉に飛び上がった。
しかしこれは、糞が……、いや、運が良かった。
軽症で済んだのは、糞溜めが軟らかくホヤホヤだったからだ。
その様子を見ていたビルの娘のケイティーが、窓から顔を出して、声高々に笑っていた。
きゃ~、はっはっはっはっは!