特別番外編  「しんかい6500」、震源域に潜る

その2  端的に言うと「ちょっとビビッていた」

ちょっと下品な例えなので口にだすのも憚られるけれども、国境・人種・社会的地位を超越した全人類が共感できる例えとして言おう。男性的な開放感と躍動感溢れる力強い放屁を思い起こさせる「深海熱水噴出」に対し、「冷湧水域」は日本女性の奥ゆかしさを体現する「なでしこすかし屁」に例えることができる。

放屁が生きる人間にとってごく普通の生理現象であるように、「深海熱水噴出」や「冷湧水」は生きている地球の比較的恒常的な現象と言えよう。

そのような冷湧水域は、日本海溝の陸側斜面にゴロゴロ存在しており、そこでは硫化水素をエネルギー源とするシロウリガイなどの化学合成生物群集がコロニーを形成している。それゆえ、研究者間でも「あの日本海溝シロウリガイコロニーサイトね」と言っても、一体どれがどれか、簡単には区別がつかないということが多々起きるのだ。

そんなわけで、日本海溝三陸沖水深5300mにあるシロウリガイコロニー域は、ずいぶん前に発見され研究が行われていたのだけれども、「しょこたん」が潜った場所ということで、「しょこたん」サイトと呼ばれている。

似たような変わったネーミングの例として、沖縄鳩間海丘熱水域に「ちゅらさん」サイトというのもある。こちらは実際「ちゅらさん=国仲涼子」が潜ったというわけではないが、今は亡くなられた俳優の緒形拳さんが撮影で潜った場所でもある。