第2章 1888-1900 ゆりかごの時代

第13回 戦い≒恋愛?

 エルシーが手紙を書いた時点で、グロブナーとの結婚は事実上、本決まりでした。ベル夫妻の了承を得て書いたものですし、もちろん、ご執心のグロブナーが断るはずはありません。

グラハム・ベルはヨーロッパから祝電を打ちました。

 9月に入り、ワシントンから帰ってすぐ、ベルは理事会のメンバーを招集します。議題はグロブナーの処遇について。執行委員会の決定は理事会の承認を得る必要がありました。

   理事会は9月14日に開催されました。そこで科学者、探検家、実業家など、各界の名士からなる理事会は執行委員会の決定を覆します。

 グロブナーは編集長より上の立場の編集局長とし、年収は1200ドルから800ドル増、約1.7倍の2000ドルで契約する。さらに、グロブナーの仕事ぶりを声高にほめたたえ、終身雇用とすることを宣言します。満場一致の決議でした。

 一方のハイド氏は、これまでどおり無給の編集長として残ることになりました。

 翌日、グロブナーは父に手紙を書いています。

「……決議は……思うに、願ってもないものです。ギャネットとハイドはあまりの衝撃に、会合にも来ませんでした。でも、(執行委員会のメンバーのひとりであるアルフレッド・J・)ヘンリーは決定について「ベルの義理の息子になるからではなく、君の仕事ぶりと人となりが認められたおかげだよ」と言ってくれました。私はそれが本当だと思いたいですし、おそらく事実でしょう」