第2章 1888-1900 ゆりかごの時代

第13回 戦い≒恋愛?

 ギルバート・グロブナー対ジョン・ハイド率いる執行委員会のガチンコバトルは、ヒートアップするあまり、意外なところへ火の粉を飛ばしました。

 執行委員会がグロブナーに昇進も昇給もないことを伝えた7月27日から、ほぼ1カ月後の1900年8月30日。
 バトルのいきさつを耳にしたエルシー・ベルがすっかり腹を立て、前々から結婚を申し込んでいたグロブナーに、「もしあなたの気持ちが変わっていなければ、喜んで結婚します」と返事を送ったのです。

   なぜエルシーがグロブナーと結婚する気になったのか。細かい心の動きまではわかりませんが、少なくとも、ワシントンに来るように誘ったのはエルシーでしたし、グロブナーの実力も認めていました。
 好意を抱いていたのは確かだった。けれど、踏ん切りがつかなかった。と、揺れ動くエルシーの乙女心にジョン・ハイドが火をつけてしまったのでしょう。

 実のところ、グロブナーの母親にベル夫人がこんな手紙を送っています。

「ギルバートには本当に大変な夏でした――心からの援助と友情を期待できたはずなのに、裏切りにあったのですから――でも、彼への嫌がらせに腹を立てたからこそ、エルシーの愛情と同情が引き起こされたのでしょう。そうでなかったら、エルシーが自分の気持ちを決めたかどうか疑わしいものです。ですから、結局のところ、ハイド氏は意図せずギルバートに大きな奉仕をしたことになります。彼のこのところのトラブルは一見、不幸のふりをした祝福だったというわけです」

 人生、何が起こるかわかりませんねえ。