田村さんが示してくれた写真は、520光年先のへびつかい座SR24星のものだった。実際に撮影されたものと、コンピュータシミュレーションによる描画があって、それらが非常に似通っている。

「これは、サイエンスという雑誌で紹介してもらったんですが、連星があって、その間で物質のやりとりをしてるっていうのが初めて見えたんです。円盤から円盤に物質が流れている様子なんていうのは、今まで見えなかったんですけれども、画像として観測することで初めて捉えられたんですね」

 ぼくは、連星系での原始惑星系円盤の出来方に魅了された。なんと3つもの円盤ができることが、実際の観察でも、シミュレーションでも示されているのだ。それぞれの星の周囲にできる円盤がひとつずつ、そして、連星系のまわりを取り巻く大きな円盤がひとつ。
 それぞれ、どんなふうに惑星ができるのだろうか。

3次元コンピュータシミュレーションで再現した若い連星と原始惑星系円盤。
(写真クリックで拡大)((c) 法政大学、画像提供:国立天文台)

つづく

田村元秀(たむら もとひで)

1959年、奈良県生まれ。国立天文台太陽系外惑星探査プロジェクト室長。主な研究分野は、赤外線天文学、星・惑星系形成、系外惑星探査、宇宙磁場の観測的研究と装置開発。現在は新しい系外惑星・円盤撮像用カメラHiCIAO(ハイチャオ)による観測や、スペース系外惑星探査ミッションの検討を進めている。『NHKサイエンスZERO 地球外生命体を探せ』(共著、NHK出版)、『宇宙は「地球」であふれている -見えてきた系外惑星の素顔-』(共著、技術評論社)などの著書がある。


川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫生まれ。作家。98年、小説『夏のロケット』で第15回サントリーミステリー大賞を受賞。少年たちの川をめぐる物語『川の名前』、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)など、多岐のジャンルにわたり多数の著書がある。近著は学校の「いま」と家族、地域の「在り方」をリアルに描いた長編エンタテインメント『ギャングエイジ』(PHP研究所)。
著者自身によるブログは「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターのアカウントは@Rsider

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