第2回 世界最高の性能を誇るすばる望遠鏡

 補償光学装置といっても色々あって、日常生活に一番近いのは、カメラの手ぶれ補正だろう。人が持っているカメラの動きを検知して画像のブレを予測し、レンズや撮像素子を動かすことでブレを打ち消す(補償する)。

 一方、大気の揺らぎは「手ぶれ」とは性質が違うので、別の仕組みが必要になる。

「原理はすごく簡単で、大気が揺らいで星の光が乱されるんだったら、その乱れている様子を測ってやって、乱れた分を計算して補正するんです。最近は、わざと人工的にでこぼこさせられる可変形鏡っていうものが発明されていまして、それをリアルタイムで変形させることで、ゆらぎを打ち消すわけです」

 ちなみに、可変形鏡はもとはといえば軍事技術だったとか。スパイ衛星から地上をみる時にも当然、大気の揺らぎが問題になる。できるだけ細かく解像するために開発されたものが民間にも解禁された。すると天文学者は、それまでの用途とは逆に地上から宇宙を見上げるのに使うようになった、というわけだ。

 ちなみに、この可変形鏡について、すばる望遠鏡では、苦い思い出がある。動作の試験をしている時に、「鏡を燃やしてしまった」というのだ。