たとえば、燃えてしまったすぐの森は、まるで野焼きをした畑のように、新しい下草がたちどころに生えてきます。それは、カモやガンなどの水鳥たちにとって、栄養豊富なエサ場となります。

 木が燃えて、日当りが良くなったところには、ブルーベリーがたくさん実を付けます。それはもちろん、クロクマたちの大好物となるのです。

 燃えてから10年から20年ほど経った森は、ジャックパインの若木たちがぎっしりと密集して生えています。

 その森は、カンジキウサギたちにとって、格好の隠れ家を提供してくれることになります。

 また、そのウサギを追ってオオヤマネコたちも、火災の後の若い森を好んで生息します。

 さらに40年、50年と年数が経った古い森では、それまで密集していたジャックパインの多くが、強い風や雪の重みによって倒されます。そして、残された木が、太く大きく成長していくのです。

 日陰となった森の地面は、いちめん厚いコケに覆われ、トナカイゴケなどの地衣類もたくさん生えてきます。

 名前の由来でもあるように、トナカイゴケを食べることのできる唯一の野生動物が、この森に棲むカリブー(北米でのトナカイの呼び名)たちです。

 苔むした古い森は、カリブーたちの越冬地となり、それを獲物とするオオカミたちもまた、カリブーがいるおかげで、このノースウッズの厳しい冬を生き抜くことができるのです。

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