特別番外編  「しんかい6500」、震源域に潜る

その1  ワタクシの中に「断固たる決意」ができたのです

「科学の義務」や「研究者の大義」というような書き方をしましたが、もちろんあくまでワタクシが勝手にそう思ったことです。JAMSTECに限らず、大学や公的研究機関で働く科学者の中にも違う考えを持つ人も多いでしょう。「科学」は、何よりもまず「人と社会のためにあるべき」、つまり「健康や安全」、「被害の拡散防止や低減」、「生活や産業や経済の復興」あるいは「人と社会の安寧のための正しい情報提供」、のためにあるべきであると。

全くその通りだと思います。国の財政から研究資金を支援され研究を行っている以上、人と社会のために何ができるかを第一義に考えることは当然のことです。

都合がいいように聞こえるかもしれませんが、そのような観点から考えても、「同じ社会に生きる個人として」のワタクシのできることはいろいろ思いついても、「プロの科学者として」のワタクシの研究やその成果や技術が「人と社会のために為されるべき」ことは、「自分にしかできない1000年に1度の自然現象を多面的な地球―生命の繋がりとして解き明かすこと」しかないと思ったのです。

もちろん「科学の義務」や「研究者の大義」というような、いくぶん取り澄ました考え方だけではなく、もっと個人的な思いとして、ただ単純に「超巨大地震が暗黒の生態系に与えた影響」にすごく興味があったことは否定しません。それを知りたいという思いが日に日に大きくなっていました。