第4章 先住民に学ぶ 前編

 ただ植村らしい態度としてもう一つつけ加えておくとすれば、たしかに自然に適応する態度を彼はくずさなかったけれど、いっぽうでは自分の考えた行動についてはじつにしつこくやりとげようとし、かんたんにはあきらめなかった。諦観するという態度は、この冒険者にはみじんもなかった。

 ここで、先住民という用語についておことわりしておきたい。

「現住民」といえば、「現在その土地に居住している人」という意味になる。いっぽう「原住民」と書くと、「もとからその土地に住んで(今に至っている)人」という意味になる。もう一つ「先住民」という言葉があって、これはほんらい「一定の民族、もしくは種族の土地占有以前に同一の土地に居住の痕跡をとどめた民族」(『精選版日本国語大辞典』小学館刊)という意味で使われていたようだ。しかし現在は「先住民」は「原住民」とほとんど同じ意味で用いられるようになっている。「原住民」の「原」に、原始的というひびきがこもるのをはばかってのことなのかもしれない。

 しかし「原住民」も「先住民」も、未開人であるという意味づけはもちろんのこと、いかなる差別的な意味もないはずである。私はここで現在の一般的な風潮にしたがって「先住民」という言葉を主として用いることにするが、意味としては「原住民」と変わるところはない。またそこにいかなる差別感覚もないことはいうまでもない。