限りある食料やエネルギーの供給量とのバランス、自然災害、将来への絶望……その時代のさまざまな要因と絡み合いながら、日本の人口は縄文時代から現代に続く約1万年の歴史のなかで、増減しながら適切な人口を探ってきた。

「日本は、たしかに海外の諸国と比べて、農業に適した土地が少ないというデメリットがあるかもしれない。でも江戸時代は鎖国したまま、3200万人もの人口を自給自足とリサイクルで養うことができた。しかも現代は、食料自給率が40%を切りつつも、海外からふんだんに食料を輸入できるようになっています」

 そんな時代の人口変動のキーとなるのは、やはり将来へ悲観楽観という心理的な要因だ。
「食料やエネルギーが、どんなにたくさんあっても、産まない人は産まない。物質的な要因より、将来への心理的な悲観楽観が大きく作用しているからです。つまり国民の心持ちひとつで、現在の少子化も食い止められる可能性はあると思っています」

 そう話しながら、鬼頭氏はスクラップしている1974年のある新聞記事を見せてくれた。「人口ゼロ成長をめざせ。子供は2人が限度」。そんな大きな見出しが書かれた記事には、同年の「人口白書」による、「人口増加への警告」を報じている。もちろん誤植ではない。わずか30年ちょっと前には、人口減少ではなく、人口増加に国が警鐘を鳴らしているのだ。

「つまり今問題になっている少子化は、日本で人口増加が起こっていた60~70年代、世界の人口爆発と、食料・資源問題などを解決するため、政府主導で始まったものなんですね。しかもこの1974年の『人口白書』が提唱した『2011年までに人口減少に転じる』という推計は、6年も前倒しで2005年にはほぼ実現してしまった」

 つまり、この皮肉な「実績」を見る限り、日本の人口は、政府主導のコントロールが不可能ではないのだ。

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