米国の病院で生まれた新生児たち(1月号「70億人の地球」より)Credit: JOHN STANMEYER
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 日本に少子高齢化を招いた直接のきっかけは、終戦直後にさかのぼる。

 「そもそも明治以降、日本は、過剰人口をどうするかということが課題の国だった。口減らしのため、生まれたばかりの子供を闇に葬ったり、棄老(きろう)と言って、働けなくなった老人が、自ら山に死にに行くという伝説もある。つまり、日本は長い間、深刻な人口過剰社会だったのです」

 第二次世界大戦が終わって間もない1957年頃には、日本でさらなる人口爆発も起きている。一気に人口を膨らませたのは、満州など、海外に移住していた人たちの引き揚げだった。また平和な時代に突入して、その後「団塊の世代」と呼ばれるようになるベビーブーマーたちもつぎつぎ誕生した。

 この人口爆発が問題になり始め、どうセーブするかが議論されるようになったのとちょうど同じころ、朝鮮戦争などで日本は空前の好景気を迎える。高度成長期の始まりだった。

 「先進国に人口が少ない国が多いことからもわかるように、発展途上国の経済力が落ち着けば、人口増加は緩やかになってくる。日本の人口増加にも、ここで急ブレーキがかかった」。 たとえば朝鮮戦争が始まった1950年、日本の人口は約8400万人で、年平均の人口増加率は2.89%と大きい。ところが1960年代になると、人口増加率は1%前後にまで落ちていく。

 そして今回2010年の国勢調査では、人口増加率0.2%と過去最低に。次回5年後の国勢調査では、いよいよ人口減少の局面を迎えると考えられている。「人口が自然に減っていくという現象は、日本の歴史が始まって以来初めて経験すること。これも、戦後まもなくかかった人口増加の急ブレーキの余波といえるでしょう」

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