女性が喜んで働ける社会や、高齢者だけでなく、現役で働く若者にも焦点を当てた、社会保障や税制も必要だろう。

「もしかしたら、日本で進んでいるグローバル化が、自動的に少子化のさまざまな要因を取り除いてくれるかもしれないという希望はありますね。日本はリスクをなにより嫌う国民性がある。一方、海外には、あえてリスクを取っていく文化を持つ国も少なくない。アメリカなどは、そのいい例です。格差はあっても壁は低く、何かに失敗しても、もう一度這い上がっていくチャンスはある」

 女性の労働という面でも、日本はまだまだ遅れている。管理職の女性率は、OECD諸国のなかで、最下位の韓国に次いで、下から2番目。また安定した企業ほど、終身雇用や年功序列があり、女性が出産でひとたび休むとそのルールからはずれてしまい、出世できないというハンデも背負っている。こうした非婚化、少子化の日本ならではの社会が、グローバル化によって、欧米型の結婚しやすい、子供を持ちやすい社会に変わっていく可能性もある。

「グローバル化が進めば、移民などにも抵抗がなくなり、欧米諸国がやったように、移民によって人口を増やすという手段も生まれる。英語を話す日本人が増えて、海外からの労働者も増えるでしょう。ただし、日本というガラパゴスで、安定した人生を送ればいいと考える人がこのまま増えれば、必ずや出生率はさらにさらに減っていくでしょうね」

(おわり)

山田昌弘(やまだ まさひろ)

1957年東京都生まれ。86年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大学教育学部教授を経て、2008年4月から中央大学文学部教授。専門は家族社会学、感情社会学、ジェンダー論。内閣府・男女共同参画会議・民間議員、基本問題・影響調査専門調査会会長、内閣府・幸福度に関する研究会・委員などを務める。著書に『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)、『少子社会日本 もうひとつの格差のゆくえ』(岩波書店)、『なぜ若者は保守化するのか 反転する現実と願望』(2009)など。


福光 恵(ふくみつ めぐみ)

1960年東京都生まれ。美術業界で働いたのち、フリーライターに。日経新聞プラス1「コトバの鏡」、アスキードットPC「自腹で大人買い」などの連載あり。

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