その2 独り暮らしのお国柄

「欧米でも、若者の収入は日本と同じように減っていると言われています。でも、収入低下が結婚を思いとどまらせるのではなく、かえって結婚を増やしている」
と、山田さんは言う。

 理由はこうだ。欧米は南欧諸国をのぞいて、独身男女のほとんどが独り暮らし。ひとりで生活するのが苦しいから、結婚や同棲で一緒になって、食費、住宅費、光熱費などをシェアしようということになる。一方、日本や韓国や台湾、イタリア、スペインなどは、独身者が親と同居している率が高い。だから結婚しなくても生活できる。

「収入の低い男性と結婚するより、収入の高い親と住んでいたほうがいいと思ってしまう。これが私のパラサイトシングル説です」

 実際、成人しても独り暮らしをせず、親と同居する独身者の率は、近年、急激に高くなっている。とくに増加しているのは、男性独身者の同居率だ。20歳以上の男性の独り暮らし率は、20年前は4割だったものが、今では2割に。

「学生が一時的に、親元を離れてする独り暮らしを入れても、男女とも独身者のなかで、独り暮らしをしている人は、たった2割しかいないんです。女性は、昔から独身の間は親元で暮らすのが普通でしたから、独り暮らし率としては、ずっと2割と変わっていない。ただし、かつて親と同居する女性は20代がほとんどだったのに対して、今は親と同居している30~40代のシングル女性が増えている。割合は変わっていないものの、未婚者の総数、つまり分母が増えたため、数は増えている。それに比べて男性は、未婚者の総数も増えているうえ、親と同居する率も高まっています」

 独身でいるとは、なんて贅沢な。欧米ではそんな認識が一般的だという。それは、独身者はお金のかかる独り暮らしをしなければいけないから。かたや現代日本では、お金をかけずに独身を続けられる「パラサイト」という裏技がある。そしてこれが、未婚率上昇の原因のひとつになっていると、山田さんは分析している。