第2話  JAMSTECへの道 前編

その4  アメリカ留学「ケンはなかなか面白いアイデアを持っている」

ワシントン大学海洋学部のジョン・バロスの研究室とラボメイト達。ここに写っているのは、トム・ハンクスそっくりのジム・ホールデンではないのが残念。この研究室の入り口にある「Cosmomicrobiology Lab」という表札は、1988年頃に掛けられたものらしい。誰も「宇宙生物学」など想像もしたことのないような時代に既に、そのような研究領域の勃興を予見していたとは、ジョン・バロス恐るべしである。
(提供:高井研)

ワシントン大学海洋学部は、言ってみれば世界の深海熱水研究の一大拠点だった。

海洋科学における20世紀最大の発見と言われる深海熱水活動の発見は、1977年から1979年にかけて、東太平洋の中央海嶺と呼ばれる、海洋プレート(地殻)ができる海底山脈の調査によってもたらされた。このときの「栄光の研究」チームは、主にアメリカのスクリップス海洋研究所、ウッズホール海洋研究所、オレゴン州立大学、カリフォルニア大学の研究者達が中心であった。

この偉大な先達を深海熱水研究第1世代とするならば、その第1世代研究者の下で、大学院生やポスドク(Post Doctoral Fellow)として研究に青春を賭けた研究者達は、深海熱水研究第2世代と呼ぶことができる。

ボクが留学していた研究室のボス、ジョン・バロスは、この深海熱水研究第2世代の一人であり、そんな第2世代のスター達が集まっていたのがワシントン大学海洋学部だったのだ。

今思い出すと確かに、ワシントン大学海洋学部の建物の中ではいつも、深海熱水研究の超ホットな話題が飛び交っていた。ランチを食べながら行われるランチョンセミナーでは、調査を終えたばかりのホヤホヤの深海熱水のビデオ映像が紹介されていたり、海底火山の噴火の最新情報などが熱く語られていた。