森林火災といっても、下草を燃やすだけのものから、樹冠に炎が達するものまで、さまざまなレベルがあります。

 写真を一目見ただけで、かなり激しい炎を伴う、巨大な森林火災が起きていることがわかりました。

 でも、ぼくが驚いた理由は、炎の勢いがあまりにすごかったからだけではありません。
 じつは、写真のなかで燃えている場所に、昨年の秋、訪れたばかりだったのです。

 今年の3月末に放映されたNHK BSの自然番組『ワイルドライフ』で、カナダ側のノースウッズを取り上げていただきました。

 その撮影で、取材陣とともに秋の黄葉シーンを撮ったり、発情したムースを呼び寄せたりしたのが、まさにこの写真で燃えている場所から、目と鼻の先のところだったのです。

 昨年の夏にこの火事が起きていたら、いや、取材中にこの規模の火事が起きてしまったら……とても撮影どころではなかっただろうと思うと、背筋が冷たくなりました。

 しかし、この森林火災もノースウッズの自然にとっては、迷惑なことばかりでもありません。次回ではそのあたりのお話をしたいと思います。

つづく

大竹英洋

大竹英洋(おおたけ ひでひろ)

1975年生まれ。写真家。一橋大学社会学部卒業。1999年に米国のミネソタ州を訪れて以降、北アメリカ大陸北部に広がる湖水地方「ノースウッズ」の森に魅せられ、野生動物や人々の暮らしを撮り続けている。主な著書に『ノースウッズの森で』(「たくさんのふしぎ傑作集」)、『春をさがして カヌーの旅』(「たくさんのふしぎ」2006年4月号)、『もりのどうぶつ』(「こどものとも 0.1.2.」2009年12月号)(以上、すべて福音館書店)などがある。また、2011年3月NHK BSの自然ドキュメンタリー番組「ワイルドライフ カナダ ノースウッズ バイソン群れる原生林を行く」に案内人として出演。近著は「森のおく 湖のほとり ノースウッズを旅して」(月刊 たくさんのふしぎ 2012年 09月号)
本人によるブログは「hidehiro otake photography」

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