そんなある日、オンタリオ州にあるウッドランド・カリブー州立公園の公園長から、1通のEメールが送られてきました。
ウッドランド・カリブー州立公園は、イリーから北に車で8時間ほど行ったところに位置し、東京都の約2倍の広さがあります。
ノースウッズのなかでも特に湖が密集していて、原始の自然が豊かに残されている場所です。
ぼくがはじめてカナディアン・カヌーの旅に連れて行ってもらったところでもあり、2005年からは1年半ほど、公園事務所のあるレッドレイクという町に暮らしたこともあります。
そんなわけで、公園長のダグとは、たまにメールで近況を伝えあうような親しい間柄なのです。
ダグから送られてきたメールには、「いま、公園で起きている火事だ」という一文とともに、1枚の写真が添付されていました。
その写真を見て、ぼくは驚きました。思わず「うわっ」と声を出し、しばらく開いた口が塞がりませんでした。
写真には公園内に点在する釣り客用のロッジが写っていました。そして、そのすぐ裏手の森から、まるで積乱雲のように、もくもくと煙が立ち上っているのです。
信じられないほどの高さまで届いた煙の隙間からは、オレンジ色の炎がちらちらと見え隠れしていました。