さて、今回イリーにやってきたのは7月の半ばだったのですが、それから1カ月もしない間に、町全体がうすい霞のようなものに包まれることが、幾度もありました。

 気温が30度を超える蒸し暑い日が続いていたし、周りを湖に囲まれた町なので、湿度が高いときには濃霧でも発生するのだろうと、最初のうちは気軽に考えていました。

 ですが、そのうちに、なんとなく様子がおかしいことに気がつきました。あたり一帯が、どうも煙臭いのです。

 たき火かバーベキューの匂いかなとも考えたのですが、同じような状態が何度もやってくると、これはいよいよ変だぞと思うようになりました。

 町の友人たちと話をして、やっとそれが、カナダから流れてきた森林火災の煙だということがわかりました。ミネソタの北にあるオンタリオ州では、今年の夏は雨が少なくて、火災が多発しているようなのです。

 ノースウッズで起きる森林火災の原因は、たき火の不始末など人為的なものも稀にありますが、ほとんどは自然発火によるものです。
 雷雨が通り過ぎる際、乾燥した地面に十分な雨が降らないと、落雷から生じた炎が大きく育ってしまうのです。

 幸いイリーの町を覆っていた煙は、随分遠くから風に乗ってきているようでした。
 避難するような緊急の事態ではないので、まずはひと安心ですが、町中をかすませるほどの煙が、遠くからでもやってくるということは、いったいどれくらいの規模の森林火災が起きているのだろうと、すこし気がかりではありました。

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