第14話 いざ! キツネ狩りへ
場所は、ロトルアの西の丘。広大な牧草地が広がる牧羊地帯である。
猟犬には、昔から小型種のビーグルが使われていることから、この時も、伝統を重んじて二十匹ほどが放された。
犬たちには、キツネの代わりに、ウサギを追わせることになるのだが、なにせ、そこら中がウサギのニオイだらけなものだから、犬たちも、あちこち嗅ぎまわって、まとまりがついていなかった。
それに、ウサギはすぐにも巣穴に隠れてしまうために、草原を俊敏に走りまわって逃げるキツネを追う快感も得られそうになかった。
けれど参加者は意外にも多く、赤いブレザーを着て白いタイツ、黒いブーツというイギリスの乗馬スタイルで、ぞろぞろとビーグルたちの後をついていった。
まるで、『キツネ狩りごっこ』のようなものなのだが、二十匹もの猟犬を放せば、かなりのウサギの駆除が期待される。
私はもはや、小さく可愛らしいウサギとて、容赦はしないのだ。
彼らが掘る穴で、馬たちが骨折でもしたら、目も当てられない。
「きゃ~。カワイイ。ふわふわ~」などと言っていられないのだ。だから……、
「ビーグルたちよ~。ここは、一匹たりとも逃がしてはならぬ。全滅させるのじゃ~」
つづく
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