――植村さんと笹森さん、2人とも日本人ですね。

 そうですね。歴史的にはどうしてもヨーロッパに探検家、冒険家が多かったんですが、未踏峰とか初横断とか、そういうところを強調する姿勢は帝国主義的で、本音を言うとあまり好きではないんです。

 それから、ぼくにとって記録は大事ではありません。ラインホルト・メスナーは確かに素晴らしい冒険家だけれど、やはり記録も大事じゃないですか。
 彼をはじめ、未踏の北壁から登るとか、南面を制覇したとか、登山家や冒険家はそういう話しになりがちになる。でも、冒険の本質って、そういうことじゃないと思うんです。それよりも、自分なりの価値観をしっかりもってチャレンジする人が魅力的に思えます。

――では、現代の日本人にとって、どんな冒険が考えられますか?

 より普遍的な冒険心がある、つまり、そこに暮らしている人から見てもフロンティア精神があるということでいえば、いまの日本国内でやってみても面白いんじゃないでしょうか。

 たとえば、親子でキャンプをしながら日本を縦断してみるとか。徒歩でも、自転車でも、あるいはリヤカーでも、ぼくは何冊も日本縦断の旅の本を読んでいますが、それはとても大変で、実際のところ冒険ですよ。

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