2頭の子馬たちは、ブランドされることになった。ブランドとは、所有者が誰であるか分かるように、火で熱した鉄の刻印を皮ふの表面に押し付けて、印を付ける焼印のことだ。
二頭の子馬たちは、ブランドされることになった。
ブランドとは、所有者が誰であるか分かるように、火で熱した鉄の刻印を皮ふの表面に押し付けて、印を付ける焼印のことだ。
西部劇などで、カウボーイたちが、火で熱した鉄の印を牛の尻に押しつけて皮膚を焼く、あれ……である。
馬たちも、焼印をおされて、正式に競走馬としての登録がなされるという訳だ。
牛ならまだしも、まさか、馬にも焼印を……? 私は少々、眉間にしわを寄せて想像した。熱そう……。かわいそう……。
昔の罪人ではあるまいし……。今どき、そんなことをしなくても……。
ちなみに私が働いていたカナダでは、焼印の代わりにタトゥー(刺青)の登録番号が歯茎に付けられていた。
私は馬の上唇をめくり上げ、暴れないように馬を押さえる手伝いをしたことがある。
刺青用の針の束は、すでにスタンプのように番号の形になっていて、登録番号順に並べて、墨を付けて、歯茎に押しつけて、終わりだった。
痛そうだったけれど、すぐにも餌を与えると、平気でもぐもぐと食べていた。
レースに出る時など、馬の照合の時に、上唇をめくり上げて番号を見せるのだ。