それでも、やっとのことでオフィス街の片隅に本屋をみつけました。なかなか立派な店内です。

 しかし、こんどは出版文化の違いなのか、日本でよく見るような国内向けの旅行情報誌、つまり、レストランや宿、観光地のみどころが、写真付きでぎっしりつまったような本は、どこにもみつかりませんでした。

 ふだんはあまりそういったマニュアル本に興味はないのですが、手っ取り早くイリーまでの行き方や町の雰囲気が、写真付きで感じ取れるだろうと期待したのです。

 でも、置いてあるのは、世界各国を扱った、文字ばかりの分厚い辞書のような『ロンリープラネット』や車の旅で使うロードマップばかり。国が違えば、言葉も違う、生活様式も違えば、きっと旅のスタイルも違うのでしょう。

〈街角の本屋に行って、旅の情報誌をぱらぱらめくる。日本ではなんでもないようなことが、国が違うだけで、こんなにも大変なことだとは……〉

 あたりまえのことが通用しない。だからこそ世界は多様で面白いのだと頭では理解できても、自分の勘が外れて、すこし落ち込みました。

 そのあと、図書館にも行ってみようかと思ったけれど、すでに歩き疲れてほとほと参ってしまいました。肉体的というより、精神的な疲労です。大都市の中心部だからでしょうか、渋谷や新宿とはちがって道幅が広く、一区画も大きくて、まるで巨人の国にでもまよいこんでしまったかのように、歩けど歩けど進んでいる実感がないのです。

 滞在を一日延ばしたところで、大した成果もなかったので、これはいよいよダルースに行ってみなくてはという思いを強くしただけでした。

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