ダルースに行く前に、せっかくなのでもう一日ミネアポリスに滞在し、本屋を探して、イリー周辺についてもう少し調べてみることにしました。
東京なら本屋なんて駅前にいくつもあります。だから、まずは本屋でも探そうかな……ぐらいの、気軽な気持ちで始めたことでした。
ところが、食料品や衣料品の店はどこにでもあるのに、いざ探してみると、これがなかなか見つからないのです。
〈たしかに食べることも着ることもできないけれど、本だって、生きていくのに大切なものだろうに……〉
これだけ歩いても見つからないとなると、アメリカ人が「本」というものを、いったいどこで手に入れるのだろうと不思議でならなくなりました。
国土の広大なアメリカでは、本屋に限らず、店舗は郊外のショッピング・モールに集まっていて、さらに、通信販売が日本よりも圧倒的に普及していることを、このときはまだ知る由もありませんでした。