第2章 1888-1900 ゆりかごの時代

第8回 ジョン・ハイド

「6月号の表紙で、君の名前が編集長補佐として編集長の下に載るように、ハイド氏に提案しておいたよ」(太字は筆者)

 しかし、彼の名前の上には編集長どころか副編集長の名前がなんと12人分も! ありました。  確かに、編集長のではありましたが、編集長の下ではありません。つまり、いちばん下っぱ。

 グロブナーの立場が変わったのは、編集長以下、お歴々の先輩編集者たちの仕業でした。彼らはグロブナーを快く思っていなかったのです。

 ベルがいなければ、協会はつぶれてしまう。さりとて、ベルが連れてきたどこの馬の骨ともわからないこの若造は気に食わない。

 まあ世間にはよくあることですが、特に編集長のジョン・ハイドは相当苦々しく思っていたようです。

 ジョン・ハイドは農務省統計官という役人で、いわば名誉職のような形で編集長を務めていました。彼こそグロブナーにとっての最後の関門、いわばラスボスです。

 さあ、これでやっと役者が出揃いました(笑)。

   はたしてグロブナーはいかにしてジョン・ハイドの攻撃を切り抜けたのか? 『ナショナル ジオグラフィック』はどうやって部数を増やしたのか? エルシーとの恋は成就するのか? グラハム・ベルのとった意外な行動とは? 等々、ネタはいろいろありますが、その話はしばらく置いておきましょう。

 こんな状況でしたが、ベルの後ろ盾もあり、グロブナーはへこたれませんでした。

 次回は彼が行った協会のてこ入れ策について紹介したいと思います。

つづく

(Web編集部S)