第2話  JAMSTECへの道 前編

その3  国際ワークショップで撃沈

生まれて初めて参加する国際ワークショップは、ドキドキしまくりで楽しかった。論文で見たことのある外国の研究者をナマで見ることができて、口には出さないが心の中で「キャーキャー」と叫んでいた。

勿論、英語の発表はほとんど聞き取れなかったが、ほとんどすべての発表はすでに論文で読んでいたモノだった。4回生で研究室に配属されてから、1日1報以上は論文を読むことをノルマにしていたので、関係する分野の研究はほとんど知っていた。

ボクは留学先の指導教官になるかもしれないジョン・バロス(アメリカ人)と憧れのカール・シュッテッター(ドイツ人)の絡みに注目していた。

ジョン・バロスが特に有名になったきっかけは、彼が1983年にNature誌に「250℃でも増殖できる微生物を発見した」という論文を発表したことだった。この論文は、今で言えば、2010年にScience Express誌に発表されたあの「リンの代わりにヒ素を使える微生物の発見」論文の状況に似ているかもしれない。つまり多くの研究者が「ホントかよー」とか「嘘くせー」とネガティブに受け取ったこと、そして論文発表後、反論が噴出したところが、である。

そして、公の場で、「そんなのアリエネー。ワシは絶対シンジネー、バロスはいかさまだ」と言いまくっていたのがカール・シュッテッターだったのである。

この犬猿の仲の二人が、どう絡むのか興味津々であった。もしかして掴み合いの喧嘩が始まるかもしれないとワクワクしていたが、実際は至って大人な対応を見せる二人だった。しかし、二人は絶対目を合わせることはなかった。後で左子先生に聞いた話では、アメリカ人が固まって話している場では、「あの野蛮人が!」とか結構辛辣なことを言っていたらしい。