第1回 「自分そっくり」のアンドロイド

 少々世代を感じさせる話になって恐縮だが、藤子不二雄の代表作のひとつ「パーマン」には、主人公たちがスーパーヒーローとして活躍している間、学校に行ったり、家にいたり、アリバイづくりを担当してくれる「コピーロボット」が登場する。もしも自分にコピーロボットがあれば、そいつに勉強させて、自分は好きに遊んでいたい、なんて思ったことがある人は多い(断言)。

どちらが本人でどちらがジェミノイドかわかるだろうか(答えは5ページにあります)。
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 大阪大学基礎工学部教授で、ATR石黒浩特別研究室の室長である石黒浩さんは、パーマンの「コピー」と一見似たコンセプトの、しかし、本質的にはまったく違うロボットを創り出した。

 ジェミノイド(いわば、双子もどき)と呼ばれるそれは、研究者である石黒さんから型を取り、石黒さんそっくりに作り上げられたものだ。遠目に見れば一卵性双生児に違いないとほとんどの人が思うであろうほどの仕上がりだ。

 ぎょっとする人もいるかもしれない。自分自身とそっくりのアンドロイド(人間の姿に似せたロボット)を作るなんて、悪趣味! と。

 実は石黒さんが、自身の似姿を製作するまでには、非常に筋の通ったストーリーがあるのだが、今はそのことは脇に置いておいて、とにかくぼくが、その「双子もどき」に会った時のことをまず書き留めておきたい。

2011年8月号特集「ロボットと人間の未来」
石黒さんを含め、本誌では世界のロボット工学の最前線をレポートしています。ぜひあわせてご覧ください。Webでの記事の紹介はこちら。