第12話 シュバオン救出事件

 それは大変だとばかりに走って見に行くと、シュバオンは、倉庫小屋の外壁の下から、トンネルのように横に掘られた穴にもぐり込んで、かなり奥の方に入っていた。

 いつも威張ったようにガウガウ言っているシュバオンも、出られなくなってしまったことに気がついたのだろう、後悔しているような情けない声で、ひゅ~んひゅ~んと鳴いている。

 その声も、もはや巣穴の入り口からではなく、小屋の中の床下から聞こえてくるのだ。

 ウサギの巣穴は、床板のすぐ下にあるらしく、足でドンと床を鳴らして踏みつけると、シュバオンが「きゃん」と返事をした。

 けれど、だからと言って、彼を助けるために床板をひっぱがすこともできなかった。床には大きなコンパネボードが使われていて、さらに、棚などの建て付けもしてあった。

 結局、誰かが穴の中に頭から入って、シュバオンを引っ張り出さなければならなかった。

「え? 私?」

「そう。私、体が硬いのよね~」とスージー。

 という訳で、私が頭からもぐることになり、彼女は、私の体を引っ張り出す係りとなった。

 穴は、シュバオンが掘り広げていたので、私の体がすっぽりと入った。

 頭を上げて、穴の先の様子など見るような状態ではなく、手探りで足をつかむと、スージーに引っ張ってもらった。

 ところが、シュバオンのメタボな胴体が穴にぴったりとはまっていて動かない。足だけが伸びて、「きゃ~ん(痛い)」と鳴いている。

 ダメだこりゃ。

 私も息苦しくなってきて、とりあえず、穴から出て呼吸を整えた。

 スージーは、「はあはあ」と息を切らしている私の様子を見るなり、
「このままじゃ、シュバオンが死んでしまうわ!」
 と、何か思いついたように、くるっと背中を見せると、どこかへ行ってしまった。

 一人残された私は、穴をもっと大きくしようと、手で掘りすすめた。

 シュバオンの胴体の周りの土を、少しずつ崩して、足を引っ張ってみる。ひゅんひゅんと鳴きながらも、ちょっとは手前に動いてきた。

「よしよし、地道にやれば出られるだろう」

 女の子なのに、指の爪の間も土だらけになりながら、必死で土を掻いていると、

「どいて!」と声がした。

 振り向くと、戻ってきたスージーだった。しかも、まるで映画『ターミネーター』のアーノルド・シュワルツェネッガーのように、二の腕の筋肉にスジを立てながら片腕でチェーンソーを振りかざしている。

「な、なに? 何をする気?」

 スージーは思い切りチェーンソーのスターターの紐を引っ張って、ブルンっとエンジンをかけた。

 チェーンソーは、スージーのシュワルツェネッガー化した腕の中で、ドドドドドーと、もの凄い音を立てている。

「な、なに? なに、なに?」

 私は慌てた。

 もはや、非情な機械人間化してしまっているスージーは言った。

「このままでは、シュバオンが死んでしまうから、この倉庫もろとも、ぶっ壊す!」

「ええええ!」

 ドドドドドー。

「やめて~」

つづく
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